植村美奈子は、「阪神タイガース Woman」に所属する女子プロ野球選手で、左投げから繰り出されるクロスファイヤーを武器に投手として活躍しています。本格的に始めるきっかけとなったのは2人の兄の影響で、小学1年生から少年野球クラブに所属して3年生から投手を始めました。中学校では男子がほとんどの部活に入部しましたが、1年生秋の新人総体から背番号1番のエースを任されるほどで、早いうちから自分の能力を開花させていきました。

高校では鹿児島県にある神村学園高等部の女子硬式野球部に入部を果たし、2年生からエースとして活躍します。第10回全国高等学校女子野球選抜大会では、投手の勲章の一つでもある最優秀防御率のタイトルを獲得し、2010年の日本女子プロ野球機構第2回トライアウトに合格したことで、兵庫スイングスマリーズに入団を果たしました。2011年4月の京都戦では、リーグ戦初登板で初完投勝利を挙げ、18歳2ヶ月でのこの完投勝利はGPBLの史上最年少記録となっています。
「阪神タイガース Woman」に入団したきっかけは、小さい頃から大の阪神タイガースファンだったというのが大きいですが、新たな新天地でこの世界を盛り上げたかったというのも大きなきっかけです。入団時には、「小さい頃から憧れだったユニフォームを着られることを幸せに思います。球界全体を男女で盛り上げられるよう、また全国の選手達にとって憧れられるチームにしていけるように全員で頑張ります。」というコメントを残し、この思いからも阪神タイガースに対する深い愛情が伝わってきます。
植村美奈子は、強気なピッチングスタイルを持ち味としており、左投げから右打者の内角に対角線で投げ込むクロスファイヤーで強打者達を打ち取っていきます。ストレートの最大球速は120kmを誇り、他にもスライダー・カーブ・スプリット・チェンジアップといった多彩な変化球を織り交ぜながら、打者に的を絞られないよう注力しています。ルーキーシーズンとなった2011年には新人ながらMVPを獲得し、2017年までの通算成績でも防御率2.97・勝ち数49・完投数20・奪三振205・勝率590などの見事な成績を収めており、女子球界を代表する選手の一人として素晴らしい活躍を続けています。植村美奈子の座右の銘でもある、「一意奮闘=ひとつのことにひたすら集中して、精一杯力を尽くすこと」を、見事にプレーで体現している選手といえます。